平成10年度卒業論文要旨より

深江丸主機のガスタービンへの換装計画


目的

今日、船舶の推進機関にはディーゼル機関が主として使用されており、 ガスタービン機関の使用はごく一部の船舶にかぎられている。 その要因は、ディーゼル機関が熱効率に優れ、粗悪な燃料油が使用できる事である。

しかし、船舶機関への将来の要求を考えると、省エネ・省コストは無論の事、排出規制への適合、 船内居住、労働環境の改善、燃料の多様化、船型自由度の拡大の為の機関の小形、軽量化などがある。

これらの要求に対して総合的に適合させるには、ディーゼル機関以外にも考慮する必要がある。 本研究では、ディーゼル機関とガスタ−ビン機関の性能を比較検討し、 前述のようなガスタ−ビン機関への関心が妥当なものであるかを評価した。

解析方法

今回、比較する機関として練習船深江丸のディーゼル主機関と本研究室のガスタ−ビンを用いた。

  1. それぞれの燃料であるA重油のエクセルギ−を元に、 ディーゼル主機関使用時とガスタ−ビン主機関使用時におけるサンキダイアグラムを作成し、 出力の違いを図示した。
  2. ガスタ−ビン機関において得られる大量の排気エネルギ−をどのような方法で活用できるかを考えてみた。
  3. 両者のNOX排出量を同じ負荷の元で算出し、どれほど違うものなのかを図示してみた。
  4. 一般にガスタ−ビン機関はディーゼル機関と違い大量の燃料を必要とするので、 それらを主機とした船舶では航行路にも違いが出てくるはずである。 ガスタ−ビン船ではどのような航路を航行するのが適当なのかも検討した。

解析結果と考察

図1、図2のサンキダイアグラムを比較すると、 同量の燃料から得られる出力はディーゼル機関の方が優れているが、 ガスタ−ビン機関から得られる排気エネルギ−で発電機を駆動したとするならば、 燃料油化学エクセルギ−に対する出力の割合も増加しガスタ−ビン機関の出力も増加する。 そうなると両機関の出力の差も縮小する。 これらを考慮しても熱効力ではディーゼル機関の方が優れていると思われる。

NOx排出量については、ガスタ−ビン機関の方が、約1/4-1/5と少なく、 IMO(国際海事機関)の排出規制にもガスタ−ビン機関なら問題はない。 ガスタ−ビン船は限られた塔載タンク容量により航続距離が短いため、 瀬戸内海などの近距離を航行するのが適当だと思われる。現時点では、 舶用として使用する限りディーゼル機関の方がガスタ−ビン機関よりも適合性がある。

しかし、ガスタ−ビン機関の燃費の改善がなされ排気エネルギ−の再利用法などが確立されれば、 排出規制の問題なども考慮して、将来ガスタ−ビン機関も十分舶用として成り立つと思われる。

図1 ディーゼル主機使用時におけるサンキダイアグラム 図2 ガスタービン主機使用時におけるサンキダイアグラム